羽田空港の対岸・川崎殿町のキングスカイフロントは、実験のために設計された国際戦略拠点。LIC・iCONM・RGB各施設の性格、南渡田で進む次の大規模開発、入居のポイントと弱点まで解説します。
「実験のための街」という日本で稀有なコンセプト
キングスカイフロントは、多摩川を挟んで羽田空港の対岸に位置する川崎市殿町の国際戦略拠点です。もともと工場地帯だった土地を、ライフサイエンス・環境分野の研究開発拠点として計画的に再開発したエリアで、「オフィス街の中にラボが点在する」東京と違い、街全体が研究開発のために設計されています。
国の特区制度を背景に、研究機関・大学拠点・企業研究所・賃貸ラボが集積し、殿町だけでライフサイエンスの一通りの機能——基礎研究、創薬支援、再生医療、分析受託——が揃います。
中核施設の性格を知る
ライフイノベーションセンター(LIC)
エリアの中核となる賃貸ラボで、各階BSL-2対応で設計された希少な建物です。ベンチャーから大手まで多様な入居者があり、LIC内には機器付きレンタルラボを提供する民間事業者(バイオテック・ラボ社のレンタル実験室など)も入居しているため、小さく始める選択肢もエリア内にあります。
iCONM(ナノ医療イノベーションセンター)
ナノテクノロジー×医療の研究拠点で、公益財団法人が運営。スマートナノマシンなど先端的な研究プロジェクトと同居する環境です。
殿町リサーチゲートビル(RGB)ほか再生医療系施設
再生医療・細胞医療系の研究棟が複数立地し、この分野の集積はエリアの看板になっています。CPCや細胞医療関連の周辺機能(分析・品質試験)へのアクセスも良好です。
次の波:南渡田の大規模開発
殿町の成功を受けて、川崎ではJFEスチール跡地(南渡田)で次の大規模研究開発拠点の整備が進んでいます。ヒューリック・川崎市による(仮称)川崎南渡田プロジェクトの研究棟は延床約6万㎡・ウェットラボ対応・2027年度後半竣工予定という規模で、竣工すれば首都圏のラボ供給を大きく増やすことになります。数年先の移転・拡張を見据えるなら、今から動向を追っておく価値があります。
殿町を選ぶ理由
- BSL-2が「標準」:後付け申請や工事なしで細胞・微生物実験に入れる希少なエリア
- 羽田直結:国内外の移動、温度管理サンプルの空輸に強い。海外投資家の視察も呼びやすい
- 研究機関の密度:共同研究・受託・機器利用の相手が徒歩圏
- 行政支援:川崎市・神奈川県のライフサイエンス支援メニューが厚い
弱点と対処
弱点も明確です。第一に都心オフィス街への距離。川崎駅からバス、または京急小島新田駅から徒歩というアクセスで、日常的に都心で商談があるチームには移動負荷があります。第二に、エリア内の生活利便(飲食・買い物)が発展途上なこと。採用面では「研究環境は最高、街の賑わいはこれから」という説明になります。
対処はシンプルで、経営・BD機能を品川や日本橋の小さな拠点に置く二拠点構成、あるいは羽田空港直結の利便を逆手に取った全国出張型の営業体制です。実験部隊にとっての環境価値は都内では得がたいものなので、弱点は「実験しない人の動線」で吸収するのが定石です。
入居までの実務
LICなど公的色の強い施設は入居審査(事業の研究開発性・安全性)があり、空き区画は流動的です。BSL-2対応区画は人気が高いため、希望条件を伝えた上で空き通知を残し、複数施設を並行で当たるのが確実です。当サイトから殿町エリアの施設へまとめて問い合わせできます。
よくある質問
殿町へのアクセスは実際どうですか?
京急大師線・小島新田駅から徒歩圏、JR川崎駅からバス便、羽田空港からは車で約15分(連絡道路経由)です。都心へ毎日通う立地ではなく、「実験拠点+必要時に都心へ」という使い方に向きます。
小規模でも入居できますか?
できます。エリア内には機器付きの小規模レンタル実験室もあり、1〜2人での立ち上げから専有区画への拡張まで、殿町内で段階を踏めます。