Report · 一次集計
賃貸ラボ賃料開示レポート
掲載中の賃貸ラボ・レンタルラボを1施設ずつ公式資料で確認し、賃料がいくらで公開されているかを集計しました。 推計・按分はしていません。
賃貸ラボを探しはじめて最初にぶつかるのが、賃料が分からないことです。 物件情報を見ても「別途協議」「要問合せ」と書かれているだけで、月にいくらかかるのか見当がつきません。 それがどのくらいの割合なのか、どういう施設で起きているのかを、掲載データから数えました。
賃料を公開しているのは 47%
検収済み196施設のうち、区画ごとの金額を公開しているのは93施設でした。 残りは金額の記載がなく、問い合わせないと分かりません。 運営している主体によって、この差がはっきり分かれます。
運営主体別の賃料公開率
分母は各運営主体の掲載施設数。区画のいずれかに金額が入っていれば「公開」として数えています。
民間デベロッパーは36施設中1施設、3%しか金額を出していません。
供給は増えているのに、価格情報は消えている
竣工年が公式資料から確認できた66施設について、竣工年代ごとに 「賃料を公開している割合」と「民間デベロッパーが占める割合」を並べました。 2つの線がきれいに逆を向きます。
竣工年代別・賃料を公開している割合
竣工年代別・民間デベロッパーが占める割合
竣工年を公式資料で確認できた66施設が母数です(掲載196施設の一部)。 古い公的施設は竣工年の記載が多く、新しい民間施設ほどプレスリリースで年が分かるため、 年代ごとの施設数の偏りはこの取得可能性の差も含みます。
2024年以降に竣工した20施設のうち17施設が民間デベロッパーで、 賃料を公開しているのは1施設だけです。(大阪公立大学 イノベーションアカデミー 共創ラボ(スマートエネルギー棟))
新しく建つラボの多くは民間デベロッパーによるもので、その民間デベロッパーが金額を出しません。 選択肢が増えているにもかかわらず、借りる側から見た相場の見通しは悪くなっています。
公開されている賃料の水準
金額と面積の両方が分かる421区画から、㎡あたりの月額単価を計算しました。
n=421区画/平均2,778円。共益費・光熱費・実験設備の使用料は含みません。 施設によって賃料に含まれる範囲が違うため、単価だけでの比較には限界があります。
都道府県別の賃料ランキングは作れません。県によっては公的補助の入った施設しか金額を公開しておらず、その県の中央値は 「その県にどの運営主体があるか」を映しているだけで、相場ではないためです。 本レポートで県別の単価を出していないのはこのためです。
スケールアップ期の受け皿が薄い
区画面積の中央値は50㎡でした。研究を始める最初の1区画としては現実的な広さです。 一方で、人を増やして装置を入れる段階で必要になる200㎡以上の区画は、569区画のうち37区画(7%)しかなく、11施設に集中しています。
200㎡以上の区画がある施設:田町スクエア -LAB×OFFICE-/川崎生命科学・環境研究センター(LiSE)/殿町プロジェクト RGB(リサーチゲートビルディング殿町Ⅰ〜Ⅳ/DP-Lab)/横浜市産学共同研究センター(JRC)/先端医療センター(IBRI)/三井リンクラボ柏の葉2/クリエイション・コア名古屋/つくばイノベーションベース(TIB)/テクノインキュベーションセンター(熊本新事業支援施設)/HANEDA INNOVATION CITY(羽田イノベーションシティ)ZONE B/Techno Square Haneda(三井不動産インダストリアルパーク羽田 大田区産業施設)
立地の集中と、初期費用の不透明さ
掲載196施設のうち126施設(64%)が上位8都道府県に集まり、 掲載が1件もない県が10あります。
さらに、敷金・保証金の金額または月数を記載しているのは51施設(26%)だけです。 月額賃料が分かっても、契約時にいくら必要かは大半の施設で分かりません。
集計方法
- 対象:賃貸labo検索に掲載中の検収済み196施設・641区画(2026.08.22時点)
- 出典:各施設の公式サイトおよび公開資料。1施設ずつ運営者が確認して入力しています
- 「賃料公開」=区画のいずれかに月額の実額が記載されているもの。「別途協議」「要問合せ」は非公開として扱っています
- ㎡単価=月額賃料÷区画面積。金額と面積の両方が分かる区画のみで算出(n=421)
- 竣工年の分析は、公式資料から年が確認できた66施設のみを母数としています
- 推計値・按分値は一切使っていません。不明なものは集計から外しています
- 掲載データの更新にあわせて、このページの数字も自動で更新されます
引用・転載は出典として https://lab-search.com/report/rent-disclosure を明記のうえご自由にどうぞ。 数字の根拠についてのお問い合わせはこちらから承ります。